
私はこれまで、身体を整えるためのさまざまな方法を学び、実際に体験してきました。
操体法、新体道、野口整体、西式健康法、気功、禅密気功、ナカメ式整体リング、そして現在、特に力を入れている三井温熱療法です。
一見すると、それぞれ異なる健康法に見えます。しかし、長年実践してきた今、これらには共通する考え方があることに気づきました。
それは、身体を力で無理に変えようとするのではなく、
- 温める
- 緩める
- 揺らす
- 呼吸する
- 全身を連動させる
ことによって、身体が本来持っている動きやすさを引き出していくという考え方です。
新体道の「わかめ体操」との出会い
私が初めて「わかめ体操」を体験したのは、新体道でした。
わかめ体操では、海の中のワカメのように身体の力を抜き、流れに身を任せるように全身を揺らします。
筋肉を強く伸ばしたり、関節を無理に動かしたりする体操ではありません。膝を柔らかく使い、骨盤から背骨、肩、腕へと、波が伝わるように動きます。

動画で動きを確認したい方へ
一人で行う「背骨ワカメ体操」の参考動画です。膝を軽く緩め、骨盤から背骨、肩、腕へと動きが伝わる様子をご覧いただけます。
※新体道本来の二人一組のわかめ体操とは異なる、一人で行う運動の参考動画です。無理に大きく動かさず、気持ちよい範囲で行ってください。
そのとき、乳がんの手術後に腕のむくみで悩んでいた方を、一緒に連れて行ったことがあります。
体操のあと、その方の腕の状態に大きな変化が見られ、私自身も大変驚きました。それが、身体を緩め、揺らし、全身を連動させることの可能性を強く意識した体験の一つになりました。
ご注意
これは当時の個人的な体験です。乳がん手術後の腕のむくみには、リンパ浮腫など医療的な管理が必要な場合があります。わかめ体操だけで改善すると断定できるものではありません。
それでも私にとっては、「身体は強い刺激を加えなくても、優しく動かすことで変化することがある」と知る、大切な経験になりました。
背骨を柔らかく動かす健康法
その後、私はさまざまな健康法を体験しました。
野口整体の活元運動、西式健康法の背腹運動、気功のスワイショウ、そして禅密気功などです。
方法や成り立ちはそれぞれ異なりますが、共通しているのは、身体の中心にある背骨を固めず、呼吸とともに柔らかく動かすことです。
人間の身体は、手足だけが別々に動いているのではありません。足元から骨盤、背骨、肩、腕へと動きが伝わり、全身が一つにつながって働いています。
背骨に弾力があると、身体に加わった力を一か所だけで受け止めず、全身へ分散しやすくなります。
反対に背骨や骨盤の動きが硬くなると、肩、腰、膝など、一部分へ負担が集中しやすくなります。
私たち夫婦が学んだ長生医学でも、脊柱と健康の関係を重視し、「弾力のある背骨」を大切にしています。
さまざまな健康法を体験してきた結果、私は改めて、背骨の柔軟性と全身の連動性が大切だと考えるようになりました。
施術の効果を、その場限りにしない
以前、ナカメ式整体リングの開発者と話をしたことがあります。
その方は、多くの治療はその場で変化が現れても、時間がたつと元へ戻りやすいことを指摘していました。
そして、ナカメ式整体リングについて、「装着している間も、身体に継続して働きかけられることに価値がある」という趣旨の話をされていました。
この話は、私の心に強く残りました。
治療院で一時的に身体が楽になっても、普段の生活に戻れば、いつもの姿勢や身体の使い方が続きます。すると、再び身体が硬くなったり、同じ場所へ負担が集まったりすることがあります。
大切なのは、施術を受けた瞬間だけ変わることではありません。
施術によって生まれた良い変化を、毎日の生活の中でどのように維持していくかです。
そこから私は、治療院での施術と家庭でのセルフケアを、別々のものではなく、一つの流れとして考えるようになりました。
三井温熱療法とホームケア
そのような中で、私は三井温熱療法の素晴らしさに改めて気づきました。
三井温熱療法では、温熱器を身体に当てていくと、同じ温度でも、場所によって熱の感じ方が異なることがあります。
特定の場所で「アチチ」と強く熱く感じる反応を、身体の状態を知る一つの手がかりとして大切にします。
三井温熱療法は、
「自分の体に、治療ポイントを聴く療法」

施術中に熱を強く感じた場所や、温めると気持ちよく感じた場所を参考にすれば、ご家庭でも無理のない範囲でセルフケアを続けられます。
ただし、熱を強く感じる場所が、そのまま病気の場所を示すわけではありません。また、熱さを我慢するほど効果が高まるものでもありません。
低温やけどを防ぐためにも、一か所へ長時間当て続けず、皮膚の状態を確かめながら安全に使うことが大切です。
温めるだけで終わらせない

温めることで筋肉や関節が動きやすくなったら、その状態を全身の動きへつなげていきます。
そこで取り入れたいのが、わかめ体操やスワイショウ、鼻呼吸など、無理なく行える運動です。
1.温める
背中や腰などを、気持ちよく感じる範囲で温めます。
2.緩める
肩や顎の力を抜き、膝を軽く緩めます。鼻から自然に呼吸し、息を止めないことが大切です。
3.揺らす
海の中のワカメをイメージしながら、身体を小さく左右に揺らします。
4.連動させる
足元から骨盤、背骨、肩、腕へ、動きの波が伝わることを感じます。
5.前へ進む力を目覚めさせる
最後に軽い足踏みや腕振りを行い、鮭が流れの中を前へ進むような、身体の中心から生まれる力を意識します。
無理に大きく動く必要はありません。
「正しく動かなければ」と考え過ぎず、気持ちよく呼吸ができ、終わったあとに身体が軽く感じられる範囲で十分です。
鮭の強さとワカメのしなやかさ
私は、これからの身体づくりには二つの力が必要だと考えています。
一つは、鮭のように重力や流れに負けず、前へ進む力。
もう一つは、ワカメのように流れに逆らわず、柔らかく受け流す力です。
鮭の強さとワカメのしなやかさについては、前の記事で詳しくご紹介しています。
▶ 「鮭の強さ、ワカメの強さ―重力の中で一生動ける身体を考える」を読む
力強さだけでは、身体は固くなってしまいます。
柔らかさだけでも、姿勢や動きを支えられません。
しっかり支える力と、力を抜いてしなやかに動く力。その両方が調和することで、年齢を重ねても動きやすい身体を目指せるのではないでしょうか。
自分の身体を、自分で整える時間を
治療院で施術を受けることは、身体を整える大切なきっかけになります。
しかし、本当に大切なのは、その変化を日常生活へ持ち帰ることです。
温める。
緩める。
揺らす。
呼吸する。
そして、全身をつなげて動かす。
一つひとつは、決して難しい方法ではありません。
毎日短い時間でも、自分の身体の反応を感じながら続けることに意味があります。
治療を受けるだけでなく、自分でも身体を整えられるようになること。それが、私の考えるホームケアです。
施術の効果を、その場限りにしない。
温める・緩める・動かすを、毎日の習慣へ。
三井温熱療法と安全な運動を組み合わせながら、自分の身体と丁寧に向き合う。
それが、祐気堂マッサージがお伝えしたいホームケアの形です。
安全上のご注意
持病のある方、手術後の方、強い痛み・腫れ・息切れ・めまいなどがある方は、自己判断で運動や温熱を行わず、事前に主治医へご相談ください。































