
こんにちは。
千歳船橋駅から徒歩30秒、祐気堂マッサージです。
これまでの記事では、体を温めることで、血流や筋肉、睡眠、免疫、疲労などにどのような変化が起こるのかをご紹介してきました。
今回は、私たちの体に備わっている「修理する力」について考えてみたいと思います。
その中心となるのが、近年注目されているCD34+細胞(シーディー34プラス細胞)です。
CD34+細胞は、傷んだ血管の修復や、新しい血管づくりを助ける細胞です。
一般の方には「血管の修理屋さん」と考えると、分かりやすいでしょう。
目次
CD34+細胞とは何でしょうか?
CD34とは、細胞の表面に付いている「目印」の名前です。
このCD34という目印を持っている細胞を、まとめてCD34+細胞と呼びます。
CD34+細胞には、血液を作るもとになる細胞や、血管の修復に関わる前駆細胞などが含まれています。
つまり、CD34+細胞は一種類の細胞だけを指す言葉ではなく、CD34という目印を持つ、いくつかの未熟な細胞の集まりです。
その中には、傷んだ血管の回復を助けたり、新しい毛細血管づくりに関わったりする細胞もあります。
「血管再生のための幹細胞」なのでしょうか?
CD34+細胞は、血管の再生に関わる幹細胞や前駆細胞を含むため、分かりやすく説明すると、
「血管の修理や再生を助ける細胞」
と表現できます。
ただし、すべてのCD34+細胞が、そのまま血管の細胞に変わるわけではありません。
一部の細胞は血管の材料になる可能性があり、別の細胞は成長因子などを出して、周囲の血管や組織の修復を助けると考えられています。
そのため、単に「新しい血管に変身する細胞」というよりも、
傷んだ場所へ向かい、血管や組織が回復しやすい環境を整える修復チーム
と考えたほうが、実際の働きに近いでしょう。
CD34+細胞の主な働き
1.傷んだ血管の修復を助ける
血管の内側は、血管内皮細胞という薄い細胞の層で覆われています。
加齢、糖尿病、高血圧、喫煙、運動不足などの影響によって、この血管の内側が傷つくことがあります。
CD34+細胞を含む前駆細胞は、傷んだ場所へ移動し、血管内皮の修復を助ける可能性があります。
2.新しい毛細血管づくりを助ける
血液が十分に届かなくなった場所では、酸素や栄養が不足します。
CD34+細胞の一部は、そのような場所に集まり、新しい毛細血管が作られる過程を支えます。
毛細血管は、体のすみずみに酸素や栄養を届ける、とても細い血管です。
いわば、太い道路から住宅地へ入る「細い生活道路」のような存在です。
3.血流の悪い組織の回復を支える
新しい毛細血管が作られたり、血管の内側が整ったりすると、血液が届きにくかった組織へ、酸素や栄養が届きやすくなります。
その結果として、傷んだ筋肉や皮膚などの回復を支える可能性があります。
4.血液を作るもとになる
CD34は、血液を作る造血幹細胞や造血前駆細胞の目印としても使われています。
これらの細胞は、将来、赤血球、白血球、血小板などへ成長していきます。
つまりCD34+細胞は、血管だけでなく、血液を作る仕組みとも深く関係している細胞なのです。
iPS細胞と同じなのでしょうか?
CD34+細胞とiPS細胞は、同じものではありません。
iPS細胞
iPS細胞は、皮膚などの成熟した細胞に特殊な処理を行い、若い状態へ戻して作られる細胞です。
研究室で作られ、心臓、神経、網膜など、さまざまな細胞へ変化できる能力を持っています。
例えるなら、いろいろな部品を作ることができる「万能工場」です。
CD34+細胞
一方のCD34+細胞は、もともと骨髄や血液、血管など、私たちの体内に存在しています。
血液を作ったり、傷んだ血管や組織の修復を助けたりすることが主な役割です。
例えるなら、体の中を巡りながら必要な場所を助ける「修理職人」です。
| 比較 | iPS細胞 | CD34+細胞 |
|---|---|---|
| どこにあるか | 主に研究室で作る | もともと体内に存在する |
| 変化できる範囲 | 非常に幅広い | 血液や血管などに関係する細胞が中心 |
| 分かりやすい例え | 万能工場 | 血管や組織の修理職人 |
和温療法でCD34+細胞が増えたという研究
和温療法は、体に負担の少ない温度で全身を温め、その後、保温して休む温熱療法です。
末梢動脈疾患の患者さんを対象とした研究では、和温療法を続けたグループで、血液中を循環するCD34+細胞が増加し、足の血流障害も改善したことが報告されています。研究では、一酸化窒素に関係する数値の増加も確認されました。
研究者は、体を温めることで血管内皮から一酸化窒素が作られやすくなり、それが骨髄にいる前駆細胞を血液中へ送り出す働きに関係した可能性を考えています。
骨髄にいる修復細胞が血液中へ送り出されることを「動員される」と表現します。
温熱が、骨髄にいる細胞へ「修理が必要な場所があります」と合図を送っているようなイメージです。
温めると働きやすくなる体の「修理チーム」
私たちの体には、CD34+細胞以外にも、回復を助けるさまざまな仕組みがあります。
ミトコンドリア
ミトコンドリアは、細胞が活動するためのエネルギーを作る場所です。
例えるなら、体の中にある「エネルギー工場」です。
血流が良くなり、酸素や栄養が届くことは、細胞がエネルギーを作るための大切な条件になります。
熱ショックタンパク質(HSP)
熱ショックタンパク質は細胞ではなく、体内で作られるタンパク質です。
熱などの適度な刺激を受けると増え、傷ついたタンパク質の修復や処理を助けます。
例えるなら、細胞を点検する「整備士」です。
一酸化窒素(NO)
一酸化窒素は、主に血管の内側で作られ、血管を広げて血流を調整します。
例えるなら、血液が通りやすいように道路を広げる「交通整理係」です。
間葉系幹細胞
間葉系幹細胞は、骨髄や脂肪などに存在し、骨、軟骨、脂肪などに変化する能力を持っています。
また、周囲の細胞へさまざまな物質を送り、炎症や組織修復に関わることが研究されています。
ただし、一般的な温熱療法だけで間葉系幹細胞が大幅に増え、軟骨や骨が再生するとまでは証明されていません。
筋衛星細胞
筋衛星細胞は、筋肉の中で待機している筋肉の幹細胞です。
筋肉が傷ついたときや、運動による刺激を受けたときに働き、筋肉の修復や成長を助けます。
筋肉の再生には、温熱だけでなく、適切な運動、栄養、休養を組み合わせることが重要です。
温めれば幹細胞が増えて、病気が治るのでしょうか?
ここは、誤解しないように注意が必要です。
温めれば、あらゆる幹細胞が増えて、傷んだ臓器が再生するということではありません。
また、温熱療法だけで、詰まった血管や強い動脈硬化が元どおりになると断言することもできません。
和温療法によるCD34+細胞の増加は興味深い研究結果ですが、研究の対象人数や病気の種類、実施方法には限りがあります。
CD34という目印は、造血幹細胞や複数の前駆細胞に見られるため、CD34+細胞のすべてを単純に「血管幹細胞」と呼ぶことも正確ではありません。CD34は、さまざまな幹細胞や前駆細胞を見分けるために使われる代表的な目印です。
大切なのは、温めることを「病気を治す万能療法」と考えるのではなく、血流や体内環境を整え、もともと備わっている回復の仕組みを支える方法の一つとして考えることです。
体の修理力が働きやすい環境を整える
私たちの体の中では、毎日、古くなった細胞が入れ替わり、小さな傷が修復されています。
そのためには、血液によって酸素や栄養が運ばれ、不要なものが回収されることが必要です。
体を穏やかに温めることには、
- 血管が広がりやすくなる
- 血流が良くなる
- 筋肉の緊張がやわらぐ
- 酸素や栄養が届きやすくなる
- 心身がリラックスしやすくなる
といった働きが期待できます。
こうした変化によって、体が本来持っている修復や回復の仕組みが働きやすい環境に近づく可能性があります。
祐気堂マッサージが目指していること
祐気堂マッサージでは、三井温熱療法とマッサージを組み合わせ、体を温めながら筋肉をやわらげ、血流を整える施術を行っています。
施術によって病気そのものを治療するということではなく、
- 冷えて硬くなった体を温める
- 筋肉の緊張をやわらげる
- 体を動かしやすくする
- 休息しやすい状態を整える
ことを通して、その方自身が持っている回復力を支えることを大切にしています。
最後に
赤ちゃんの体は、温かく、柔らかく、血色が良いものです。
年齢を重ねるにつれて、体は少しずつ冷たく、硬く、血色が悪くなりやすくなります。
だからこそ祐気堂マッサージでは、
温かく・柔らかく・血色の良い体へ。
を健康づくりの目標にしています。
体を温めることは、単に気持ちが良いだけではありません。
血管を広げる一酸化窒素、細胞の修復を助ける熱ショックタンパク質、エネルギーを作るミトコンドリア、そして血管や組織の修復に関わるCD34+細胞。
私たちの体には、さまざまな「修理チーム」が備わっています。
温めることは、こうした体本来の働きが活動しやすい環境を整える、一つの方法なのかもしれません。
ご注意:温熱療法やマッサージは、医師による診断や治療の代わりになるものではありません。心臓病、末梢動脈疾患、糖尿病、高血圧、腎臓病などで治療中の方は、主治医に相談したうえでご利用ください。発熱時、急性炎症時、脱水時、体調不良時には無理に体を温めないでください。






























